- 2022/11/08
- Category : 【評論】ヴィリリオと〈総力戦テクノロジー〉
ヴィリリオと〈総力戦テクノロジー〉【その5】
極の不動
荒木飛呂彦の人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの第3部「スターダストクルセイダース」(1992年)で、
主人公の空条承太郎と宿敵のDIOとのラストバトルは、双方の「時間を止める能力」の使い方で勝負がつきます。
9秒間も時間が止められるDIOが、2秒止めるのが精一杯の承太郎に敗れた原因は、優越感による慢心以外にないわけですが、
時間を何秒間止められるか、という逆説的な現象は、「時間を止める」ということが認知上の錯覚でしかなく、
実際は自身が高速で動いているために、周囲の時間が止まって見える、ということに起因します。
時間が静止する感覚は、認知主体が度を超えた高速で動いているからこそ起こるのです。
つまり、速度を極限まで加速していくと、時間が静止する「瞬間」がだんだんと引き伸ばされていくことになります。
こうして「加速」による価値が、「瞬間」の価値へと置き換えられるのです。
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