南井三鷹の文藝✖︎上等

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集約−拡散ゲーム

集約と拡散のせめぎ合い

社会のかたちは時代ごとに移り変わっていきます。
右に寄ったと思えば、今度は左に寄ってみたり、またその逆になったり、なかなか同じかたちを維持し続けることができません。
そのような社会変化を大きく捉えれば、「集約」と「拡散」のせめぎ合い、というふうに整理できると僕は思っています。
「集約」とは、さまざまなものを一つにまとめることですが、
人々が集まって社会を形成することが、まずは社会集約の運動だと言えます。
その上でさらに集約の運動を推し進めると、中央集権的な管理へとたどり着くことになるでしょう。
集約は中央に管理された同一性を価値とする運動です。
「拡散」は、集まっていたものが散り散りになって拡がっていくことです。
集団が個へと分解するのは拡散運動ですし、社会形態としては権力分散型や地方自治にあたります。
拡散は多様性を価値とする個々の自立を価値とする運動です。
大雑把に言えば、国家権力を中心として人々をまとめ上げた「近代」は集約の時代でしたし、
自由市場を前提として脱中心的な欲望を称揚した「ポストモダン」は拡散の時代でした。