- 2022/12/23
- Category : 【逸脱書評】思想・宗教
『力と交換様式』(岩波書店)柄谷 行人 著
生産から交換へ
去る12月8日に柄谷行人がアメリカのバーグルエン賞に選ばれました。
僕は柄谷から多くを学んできたので、彼の実績が国際的に認められたことを非常に喜ばしく思っています。
その柄谷が集大成的に追求しているのが「交換様式」論です。
それを改めてまとめた『力と交換様式』(2022年)を今回は取り上げます。
「交換様式」とは何なのか、と思う人もいるかもしれませんが、広く社会的に行われている交換を、タイプ別に把握したものです。
それまでのマルクス主義理論では、経済的土台となる生産様式が社会を構成するという発想でしたが、
柄谷は生産様式が土台であることを認めつつ、問題意識を生産様式から交換様式へと移すことを提案しています。
「生産様式から交換様式への移行」が近年の柄谷のテーマなのです。
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