南井三鷹の文藝✖︎上等

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「わかりやすさ」の落とし穴

同質性を基盤とする「疑似家族」

いわゆるポストモダン思想は、資本主義体制(西側)と社会主義体制(東側)という二項対立を乗り越えることを存在意義としていました。
しかし、ポストモダン思想が支持を集めた後でも、
イデオロギーの対立「図式」が、解体されることはありませんでした。
90年代の社会主義体制の崩壊によって、
東西のイデオロギー対立は、「現状肯定=保守的右派」と「現状批判=改革的左派」の対立に引き継がれました。
その内実は複雑化しているものの、わかりやすい二項対立図式はいつまでも維持されています。
その理由はシンプルです。
たいてい考えることが嫌いな人は、自分と異なる意見に真摯に応じるより、異なる主張をする人を「敵陣営」と見なして排除することを好むからです。
とりわけ日本では、肩書き主義によって、主張の内容を吟味するよりも、主張する人が「何者か」を判断基準にすることに、あまり疑問がありません。