- 2024/06/29
- Category : 【評論】アドルノの文化産業批判
アドルノの文化産業批判【中編②】
アドルノが陥った罠
これまで僕は『啓蒙の弁証法』や「文化産業についてのレジュメ」に従って、アドルノの文化産業批判を取り上げてきたのですが、
ここからはアドルノの理論について物足りないと感じる点について言及したいと思います。
生意気なようですが、僕はアドルノの文化産業批判は不徹底な理論だと思っています。
それは文化産業の「様式化」を批判する彼らの主張自体が、「資本家こそが悪であり、労働者は搾取された被害者である」というマルクス主義的な「図式」に依存しているからです。
アドルノは文化産業という「売り手(資本家)」については激烈に批判しているのですが、「買い手(消費者)」の欲望や生き方をほとんど批判してはいません。
そのため、消費者は無力な被害者であるかのような印象を与えます。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
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