- 2018/09/23
- Category : 【逸脱書評】文学・小説
『大江健三郎 柄谷行人 全対話』 (講談社) 大江健三郎・柄谷行人 著
20年という歴史なき時間
ノーベル賞作家の大江健三郎と批評家の柄谷行人の対談本です。
本書には3回分の対話が収められていますが、実際にこれらの対話が行われたのは、
大江がノーベル文学賞を受賞した1994年前後に集中しています。
優に20年以上が経っているので、いまさら本にするのかという感じはありますが、
内容の古さを懸念した柄谷が「読み返してみると、別に古びた感じはしなかった」と書いているように、
あまり20年の時間を意識せずに読むことができました。
ただ、二人の対話を古く感じないことがいいことなのかは疑問が残るところです。
端的に文学が20年以上も停滞しているだけだとも言えるからです。
文学だけではありません。
政治にしても思想にしても、この20年の間に停滞を続けているというのが現状です。
Tweet