南井三鷹の文藝✖︎上等

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現代思想の正体

タイムリープ化する「現代思想」

「ポストモダン思想」でも「現代思想」でも呼び方は何でもいいのですが、
特定のフランス現代思想を「最新」の哲学だと見なす神話ヽヽが、日本ではいつまでも信じられています。
簡単にまとめれば、ドゥルーズ=ガタリやデリダを中心とするフランス現代思想は、「68年の思想」と呼ばれるもので、
依拠する時代背景はもう50年前になるわけですから、ちっとも「現代」ではないわけです。
日本でフランス現代思想がブーム化したのは、浅田彰や中沢新一が「ニューアカ」と呼ばれて「知の商品化」が起こった80年代になります。
「商品化」と言われるのは、それが一般読者向けの出版ジャーナリズムと結びついた「商売」(さらに言えば「広告」)だったからです。
メディア・ジャーナリズムが「最新」の消費事情について取り上げるのを目にすることは日常茶飯事ですが、
それと全く同じ感覚で「最新」として売り出された思想の消費事情を、「現代思想」と呼んで知的な態度のように偽装してきました。
簡単に言えば、「現代思想」や「ポストモダン思想」とは、学術的な評価が定まっていない流行の西洋思想を、「人気商品」として売り出したものです。
大衆的人気を背景にして高尚な思想を語っている気分になるだけの、「凡庸な遊戯(ごっこ遊び)」だったということです。