- 2023/01/24
- Category : 南井三鷹の言ってみた
「資本主義批判」で儲けるために
出版業界も「番宣」花ざかり
斎藤幸平の新刊『ゼロからの『資本論』』が、店頭に積み上げられているのを見て、
またこういう商売か、と思ってしまいました。
「こういう商売」というのは、テレビで言う「番宣」にあたる自己宣伝のコンテンツ化のことです。
出版に当てはめるならば、自分の利益に関与する書物を宣伝するための書物ということになります。
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商業主義に堕した出版界など知の表層のさらに表層でしかない。ファッションを突き抜けた言語世界の「深さ」をキミは見ない? 見たか。
斎藤幸平の新刊『ゼロからの『資本論』』が、店頭に積み上げられているのを見て、
またこういう商売か、と思ってしまいました。
「こういう商売」というのは、テレビで言う「番宣」にあたる自己宣伝のコンテンツ化のことです。
出版に当てはめるならば、自分の利益に関与する書物を宣伝するための書物ということになります。
先頃、ドイツ現代思想の思想家ビョンチョル・ハンの『情報支配社会』(2021年)の邦訳を読みました。
現代社会の「肯定性の過剰」を取り上げた『疲労社会』(2010年)と『透明社会』(2012年)に続いて、
この本では「デジタル情報体制(Infokratie)」の支配を切れ味鋭く批判しているのですが、
ハンの優れた考察が日本の読者に響くかと言えば、極めて怪しいと悲観せずにはいられませんでした。
ズバリ言ってしまいますが、日本ではメディア技術の批判は歓迎されないのです。
書店を見回してみれば、高度情報技術を批判する本は、海外の翻訳ものがほとんどです。
たとえばアンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』(2019年)は、日本でベストセラーになりましたが、
このようなスマホ批判の本は、不思議と著者が外国人なのです。
どうやら日本の出版人やマスコミは、高度情報技術や消費社会の批判を、自分ではやりたくないようなのです。