- 2019/06/09
- Category : 南井三鷹の【評論】
「権威」という病
ネット民に支持を受けた人がネット批判をはじめた
最近インターネットで支持されてきた人がインターネットを批判する(もしくは悲観する)ことを目にするようになってきました。
わかりやすい例が「ゲンロン」を運営していた東浩紀です。
僕は同世代だったので初期のころから彼の活躍を知っているのですが、
1998年に『存在論的、郵便的』で注目を集めたあと、
網状言論などと言って出版よりネットでの言論活動を重視して、インターネット世代の代表としてオタクの肯定に勤しんでいました。
インターネット嫌いの僕は彼が世代の代表と思われることが本当に嫌でしたし、
そういう世の中から距離をとりたくて作品発表も断念していました。
しかし、最近の東はどうやらインターネットの未来を悲観するようになっているようです。
BLOGOSに掲載されている東のインタビューでは、ネットの古き良き時代を振り返る哀愁のオジさんという雰囲気で、このように述べています。
ネットは世の中変えないどころか、むしろ悪くしている。フェイクニュースとかポストトゥルースといわれていた現象で、これもいまはみなわかっていることだと思います。
このインタビューで東が「問題は「リアルタイム」が重視されすぎていることです」とか言うようになっているのが面白かったです。
(2003年に僕は、webを礼賛する東がデリダのリアルタイム批判を理解していないと批判していたのですけどね)
東はネットに夢を見たあとに「転向」して雑誌の形態へと戻り、「ゲンロン」を出版するようになりました。
ネットでしか見れないコンテンツで活動していた人が、あとになって出版に戻るのも考えが浅かったことの証明でしかありませんし、
「誤配」とか「切断の自由」とか言ってた人が、フェイクニュースの批判をするのも、
自分にその資格があるのか、しっかりとした反省をしてからにしてもらいたいものです。
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